金尾散財衛エ門のエンターティメントは素敵だ!

音楽大好き、芸術大好きの男がつらつら綴るエンターティメント感想記

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夕凪の街 桜の国

 夕凪の街 桜の国

 製作 日本 2007年 118分
 出演  田中麗奈  藤村志保  伊崎充則  麻生久美子 堺正章 中越典子 他
 監督  佐々部清  
 
 1945年8月6日、広島に1発の原子爆弾が投下された。
 この映画は「原爆」をテーマとした、親・子・孫3代にわたる物語である。

 原爆投下から13年後、皆実は母親と2人で貧しいながらも、日々を懸命にすごしていた。彼女は被爆者だった。そして、原爆による熱風でできたケロイドのこと、父と妹を原爆で失ったことを含め、その事実を誰にもいわないでいた。

 そんなある日、彼女は会社の同僚である打越から愛を告白されるが、自分が「被爆者である」というコンプレックスを抱えている彼女は、その思いを受け入れられない。意を決して、自分が被爆者であることを告白した皆実は、彼に「生きとっちゃいけんのですか?」と問いかける。打越がその事実を含めて彼女のすべてを受け入れるとわかり、前向きに生きていこうと決心する皆実。しかし、彼女に残された時間はあまりに少なかった…

 それから半世紀。
 会社を定年退職した旭は、黙って外出する。その行動を怪しんだ旭の娘・七波はこっそり父を追跡する。父が夜行バスで広島に向かうとわかった娘は、再会した幼馴染の東子と一緒に広島に向かう。広島の親戚に向かうと思っていた娘だが、父の行動を見ると、どうも様子が怪しい。父を追跡するうちに、七波は自分が被爆者3世であること、父は姉の同僚や打越に再会して旧交を温めていたこと、伯母の皆実が原爆が原因で若くして死んだこと、父にもう一人姉がいて、彼女もまた被爆死したこと、祖母と母の死因、そして弟の病気が原爆に起因しているのではないかということを徐々に理解していく。
 
 長崎もだが、被爆者は周囲から「ピカ」と蔑まされ、いわれなき中傷を受けた。皆実が自分を被爆者であることを隠していたのも、成長した旭が幼馴染の女性と結婚したしたいと告げたときに、母が強硬に反対したのも、被爆者だとわかったら、どんな不利益をこうむるかわからなかったからだ。

 被爆者であるが故に相手の思いを素直に受け止められず、やっと幸福がめぐってきたと思った瞬間、病に倒れ「嬉しい?(原爆投下から)10年経ったけど、原爆を落とした人はわたしを見て、『やった!またひとり殺せた!』とちゃんと思うてくれとる? 」という言葉を残して旅立っていった皆実。
 被爆者であるにもかかわらず、晩年は2人の娘よりも長生きしてしまったという後悔の念にかられていた祖母。
 被爆時に親戚に預けられていたため、家族の中で唯一被爆を免れたということに複雑な感情を抱いて生きてきた父。
 そして、それらのことを知らないまま生きてきた娘…。 

 この映画は声高に「反戦」を叫ぶではなく、劇的に悲劇性を強調するでもなく、物語は淡々と進んでいく。それが、この映画の重さと悲劇性を強めていく。見れば見るほど涙が止まらない。

 ラストシーンで、父が娘に「お前も幸せにならなければな」と話しかけ、涙ぐみ場面が印象に残った。

 この映画を語るには、言葉なんか要らない。
 黙って見て、感じ、そして考えてほしい。

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金尾散財衛エ門

Author:金尾散財衛エ門
音楽・美術・映画など、この世のすべての「美しいもの」と、憲法第9条に代表される「平和」が大好きな、世間一般でいう「ワーキングプア」に所属するしがない中年フリーター。
このBLOGでは、管理人が見たり聞いたりした映画・展覧会・CDの感想をつらつらと綴っていく。
※展覧会の記事は、過去の展覧会についても言及することをあらかじめお断りします。

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