金尾散財衛エ門のエンターティメントは素敵だ!

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ブルーゴールド~狙われた水の真実

 ブルーゴールド~狙われた水の真実

 制作国:アメリカ 2008年 90分
 日本公開年:2010年
 監督:サム・ボッソ

 「コカ・コーラの値段が水より安い国がある」という事実を、あなたは信じることができますか?
 「水道水が有料だったばかりに、火事を消すことができずに焼死者が出た国がある」事例を知ったら、あなたはどう思いますか?
 
 今、全世界中で「水ビジネス」が熱い。
 「水ビジネス」という言葉を初めて聞いた人で、この分野の知識を持たない人だったら「水道のシステムを海外に輸出するビジネス」だと思うだろう。日本と海外の水道システムの決定的な違いは、日本の水道システムが公営で行われているのに対し、海外のそれの大部分は民間企業が運営していることだ。
 実は世界の「水」は、「5大メジャー」といわれる5つの世界的大企業が実権を握っている。水道供給システムはもちろん、ダム建築、水浄化システムなどで、世界の水需要の8割以上のシェアは、彼等5大メジャーによって占められている。高度な水浄化システムや水供給システムを持つ日本も、世界に遅れるなとばかりに「水ビジネス」をの参入を虎視眈々と狙っているが、日本が参入を狙っている水道システムは水メジャーによって独占されているため、周辺のニッチ産業に的を絞って参入せざるを得ない状況になっている。
 この映画は、世界中が注目している「水ビジネス」に反対し、「水を大企業から、一般市民に取り戻すべきだ」と主張している。なぜか?
 皆さんは、自然の循環システムについて学校で学んだのだろうか?実は恥ずかしながら、私は学校で学んだ記憶がない。いや、学んだのかも知れないが、忘れてしまったのかも知れない。地上に降った雨は森林地帯に貯えられ、余った水は川に注がれて海に帰る(多分)。地球上で気候がおかしくなっているのは、循環システムが何らかのかたちで異常をきたしているからである。
 この映画の中では、南米で高度な文明を持っていた「マヤ文明」が滅んだのは、水不足に原因があったからだと説明している。干ばつが続いて飢餓状態に陥り、森林を伐採して農耕地を増やそうとした。しかし一時的に飢餓状態は逃れられても、森林を伐採して新たに開拓した耕地にまいた種が、大量に水を使うものだったら、どんな結果を招くのか、彼等は想像していなかったのだろう。森林伐採を広範囲に行ったため、森林の保水機能は失われた。結果として水不足はひどくなり、高度な文明をほこったマヤ文明は地球上から消えた。これと同じことは今も起こっている。旧ソ連は水を海外に輸出していただけでなく、アラル海沿岸で大量の綿花を栽培していた。綿花というのは、栽培するのに大量の水を使う。綿花栽培と水の輸出で、豊富な水量をほこっていたアラル海は、一部を除いて完全に消滅してしまった。

 

 「水メジャー」は、あちこちでトラブルを起こしている。アメリカ国内での水道供給システムは、ほとんどが「水メジャー」によって運営されている。当然、市民の反発も激しく、水道供給システムを自分達の手に取り戻そうと、「水メジャー」の進出に激しく反発し、水メジャーは反対派市民に対し、訴訟をちらつかせるなどして、住民を脅している。アメリカ大都市の一部では、行政官と「水メジャー」の癒着疑惑が絶えない。メキシコでは、メキシコ大統領がコカ・コーラ社に便宜を図ったのではないかという疑惑が浮上しているが、両者ともその疑惑を否定している。
 俗に言う「貧困国」にとって、水の有無は生死に直結する。南アフリカでは、収入が高い人間ほど水を使える権利を持つ。それは家族間においても同様であり、水の使い方を巡って家庭内暴力に発展するケースもあるという。水が使えなかったために、思わぬ悲劇を招いたケースもある。母親不在時、幼い子供2人がいる家から出火した。だが近隣住民はには、他人のために水を分ける余裕はない。結局、逃げ遅れた幼子2人は、燃えさかる家に取り残されて焼死した。ケニアでは、「水メジャー」の活動に反対する活動をしていたリーダーが、彼等が差し向けたと思われるマフィアに銃殺された。ここでは、蛇口から空気しか出てこない状態であるにもかかわらず、一度蛇口をひねったら、水を使ったことにされるということがまかり通っている。
 「水メジャー」幹部は、水がコーラより高いことについて「税金が高い」「プラスティックよりもガラスのほうが需要が多い」と弁明する。しかし同じプラスティック容器を使っているにもかかわらず、コーラは水の約半分の値段で売られている。このことについて、説得力のある反論を彼等はしていない。 
 もちろん、市民も「やられっぱなし」ではない。さっき書いたとおり、アメリカ国内では「水メジャー」進出に反対する動きが活発になっている。アメリカのある地域では、土地の古老を中心に、ペットボトルの水を川に流すという行動をした。もちろん、水メジャーの横暴に抗議するためである。9歳の少年は、ペットボトルを店頭から排除する活動をして、周囲から認められた。カナダの一青年は、井戸を掘るプロジェクトをアフリカ各地で展開している。NGOは「水メジャー」の動向を厳しく監視している。そして「水メジャー」発祥の地であるフランスでは、長年にわたり水道事業を民間に委託していたパリ市が、ついに水道事業を公営に切り替えることを決めた。
 地球上にある水は、全体の7割以上を占めているが、人間が使える「淡水」は、そのうちのたった3%に過ぎない。その3%を巡って、水メジャーが覇権を握ろうと陰でごそごそやっている…ということが、この映画を見ればわかるだろう。
 水と空気に代表される「自然」は誰のものでもない、みんなのものである。決して「企業」だけのものではない。個人的には「環境破壊」は、儲け主義を打ち出した企業エゴのなれの果てだと思っている。人類から水を奪うとどうなるか…冒頭のシーンは、あまりに衝撃的である。

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Author:金尾散財衛エ門
音楽・美術・映画など、この世のすべての「美しいもの」と、憲法第9条に代表される「平和」が大好きな、世間一般でいう「ワーキングプア」に所属するしがない中年フリーター。
このBLOGでは、管理人が見たり聞いたりした映画・展覧会・CDの感想をつらつらと綴っていく。
※展覧会の記事は、過去の展覧会についても言及することをあらかじめお断りします。

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