金尾散財衛エ門のエンターティメントは素敵だ!

音楽大好き、芸術大好きの男がつらつら綴るエンターティメント感想記

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天安門、恋人たち

 天安門、恋人たち

 製作国:中国・フランス 
 製作年:2006年
 日本公開年:2008年 140分
 出演:ハオ・レイ(郝蕾) グオ・シャオドン(郭暁冬)  フー・リン(胡伶)
     チャン・シャンミン(張献民) ツアン・メイホイツ(曾美慧孜)  ツゥイ・リン(崔林)
     パイ・シューヨン(白雪云) 他  
 監督:ロウ・イエ(婁)

 「天安門事件」と「過激なセックスシーン」。
 この映画は、中国国内でタブーとされるテーマを取り上げた意欲作である。2006年のカンヌ国際映画祭で話題を呼んだ大作だが、「当局の許可なくして海外映画祭に出品した」というわけのわからない理由で、中国国内では放映禁止処分が下され、監督も、向こう5年間は国内での活動を禁止される処分を受けた作品である。

 舞台は、1980年代後半の中国。
 北京の大学に進学が決まったユー・ホンは出発前日、幼馴染のチョウ・ウェイと結ばれる。
 大学生活に馴染めず、悶々とした日々を送っていたユーは、大学の友人であるリー・ティから、ドイツ留学を終えて帰国したばかりのシャオ・ジュンを紹介され、深い関係になる。中国の大学寮は男女で別れているのだが、2人はそんなことお構いなく求め合い、快楽を貪りあう。
 しかし、幸せは長く続かない。ふとしたことから将来に不安を感じたユーは、シャオに別れ話を切り出す。本気にしていなかったシャオだが、ユーに別の女性と部屋の中に見られたことから、2人の間は急速に冷えていく。友人からシャオがリーと関係を持ったと聞かされたユーはパニックに陥る。
 そして、あの天安門事件。大学構内は治安維持部隊が乱入し、学生寮は大混乱に陥る。ユーは迎えにやってきたチョウに連れ出されて北京を脱出し、大学はそのまま中退してしまう。シャオはリーとドイツに逃げ、ユーとシャオは音信不通状態になってしまう…。

 1990年代後半、中国国内を転々とするユーはチョウと再会し、再び男女の関係に。だがチョウはすでに別の女性と家庭を持っており、2人は不倫関係の状態にあり、ついにチョウの子供を身ごもってしまう。しかしユーのそばには、絶えず彼女のことを気にかけてくれる男性がいた。ユーはチョウとの関係を清算して子供を中絶し、彼の愛を受け入れることにした。
 一方ドイツに逃亡したシャオだが、心の中ではユーを忘れられずにいた。彼を愛していながらも、心の中ではユーを忘れられないでいることに気がついたリーは彼に絶望し、身を引くために自らの命を捨ててしまう。帰国してユーとやり直そうと決意したシャオは、彼女にメールを送り、関係復活を求めたのだが…

 邦題に「天安門」の文字が入っているから天安門事件と関係がありそうに思えるが、この映画の中においては、天安門事件はあくまでもサブ的な存在でしなく、主題は男女関係である。
 せっかく時代背景に「天安門事件」を取り上げているのに、なぜ学生はあの事件を起こしたのか、そしてあの時代に活動していた学生は、社会に出てからなぜ体制側についたのかという点には触れられていないのは残念だ。この事件はあまり重要な要素ではないと監督は思ったのかもしれないが、’80年代後半を時代背景にしている以上、どうしてもこの問題は避けて通れない。ただの恋愛映画ではなく、活動を通じて知り合い、政府の弾圧を逃れて海外を転々と巣恋人同士の話に仕立てたほうがよかったかもしれない。 
 セックスシーンは「ここまでやるか?思い切ったことをやるもんだな」と思うほどで、中国当局が放映禁止処分を下したのもむべなるかな。中国人俳優が、映画の中で全裸セックスシーンを演じたのはこの映画が始めてだそうだが、いくら「芸術表現」のためとはいえ、監督もよくこんな演出を考え、演じる側も監督の要求にこたえたものだと思う。
 映画全体が「ユーの回想録」の形をとり、ドキュメンタリータッチのように淡々と物語が進行するが、画面からは絶えず重苦しい雰囲気が付きまとう。上映時間の割にせりふが少なく、演技陣の苦労は並大抵なものではなかっただろうと推察されるが、物語進行や場面転換にやや強引なところが目立つのが残念である。
 この映画が中国映画史上において、エポックメイキング的な作品に位置づけられることは確かであるが、性表現に厳しい中国当局のこと、これ以上過激な作品が出てくるかどうかはまだわからない。

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Author:金尾散財衛エ門
音楽・美術・映画など、この世のすべての「美しいもの」と、憲法第9条に代表される「平和」が大好きな、世間一般でいう「ワーキングプア」に所属するしがない中年フリーター。
このBLOGでは、管理人が見たり聞いたりした映画・展覧会・CDの感想をつらつらと綴っていく。
※展覧会の記事は、過去の展覧会についても言及することをあらかじめお断りします。

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